もの忘れには「生理的もの忘れ」と「病的もの忘れ」があります。
「生理的もの忘れ」はいわゆる加齢に伴う普遍的なもので、生活に支障はきたさない部分的なもの忘れで、後で思い出せることもあります。「病的もの忘れ」は認知症の初期中核症状で、生活に支障をきたします。この両者を的確に鑑別し、「病的もの忘れ(認知症)」に対しては早期より治療を開始する事が重要です。認知症の代表的疾患のアルツハイマ-病は、現時点では現状を維持する治療となりますので、認知症が悪化してからの治療開始では手遅れとなり、早期の治療開始が推奨されています。
もの忘れ・動きづらさ外来
水野記念リハビリテーション病院の「もの忘れ・動きづらさ」外来のご案内です。
高齢者の「動きづらさ」の原因は多数あり、また複数の原因が複合(合併)していることも多く、その特定と治療は困難な場合もあります。しかし、早期に原因を特定(診断)出来れば、治療介入が可能です。高齢者の「動きづらさ」の原因の代表的なものはパ-キンソニズム(パーキンソン症候群)です。パ-キンソン症候群とは、パ-キンソン病の症状である、動作緩慢、歩行障害(すくみ足)振戦、筋固縮、などを呈する様々な病態の総称です。パ-キンソン病以外でパ-キンソニズムを呈する代表的な病態は、脳梗塞などによる血管性パ-キンソニズム、薬の副作用による薬剤性パーキンソニズムなどです。
「もの忘れ」と「動きづらさ」は合併する場合も多く、「もの忘れ」と「動きづらさ」の両方を呈する代表的な病態は、レビ-小体型認知症、多発脳梗塞(血管性認知症+血管性パ-キンソニズム)、特発性正常圧水頭症などです。そしてこの二つの症状(「もの忘れ」と「動きづらさ」)に対してそれぞれに適切な治療が必要です。よって、「もの忘れ」と「動きづらさ」(認知症とパ-キンソニズム)の両方の病態を総合的に診療する外来を開設しました。
また、最近注目されている病態に「サルコペニア」と「フレイル」があります。「サルコ(筋)ペニア(喪失)」であり、「加齢性筋委縮」と表現されたこともあります。高齢期にみられる骨格筋量減少と筋力が低下した状態です。Frailtyは加齢による活力低下により、ストレスに対する回復力が低下した状態です。フレイルは日本老年病学会の造語で、Frailtyの直訳は「虚弱」であり、その表現を避ける目的でカタカナで「フレイル」と表現する事が提唱されました。フレイルは健康と要介護状態の中間に位置づけられます。つまり治療介入で改善する病態です。この二つの病態も高齢者の「動きづらさ」に関与しております。
また認知症に合併する事が多く、当外来で積極的に診断と治療介入を行っていきます。将来的には、この外来を発展させ、治療にリハビリテ-ションも組み込んだセンタ-化を目標としております。
ご予約
電話番号:03-3898-8100
予約受付時間:8:30~17:00(月~土)
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