固定術後に生じたヘルニア
椎間板を切除して金属で固定する椎間固定術が行われると、その椎間の可動性が失われるため、代償してその椎間の上下の椎間板に過度の負担がかかるようになります。若年者では椎間板は痛んでいないことが多いので、その負担に耐えることができますが、多くの高齢者では椎間板は痛んでいますので、過度の負担に耐えられなくなることが多々あります。その影響は固定した椎間に隣接した椎間板に生じやすく、経年的にすべり症が悪化したり、脊柱管狭窄が増強したり、ヘルニアが生じたりします。
PED法では固定術に使用した金属がPED手術の障害になるようであれば手術を行うことはできませんが、多くはPED手術の適応になります。
図12-①.L5/S1椎体間固定術後に隣接椎間板のL4/5に生じたヘルニア
80歳代 女性 主訴:左下肢痛 麻痺なし
L4/5椎間板は左側で狭小化しています(赤矢印)。
図12-②.椎間板造影後CT像:左L4/5外側型ヘルニア(赤矢印)がわかります。
L5/S1固定術後7ヶ月目から左下肢痛が出現しました。
図12-③.固定術後1.5年で行ったPED手術中のレントゲン透視像
固定術で使用した金属(白矢印)はPED手術器具(赤矢印)の操作を邪魔していません。
手術後3ヶ月目から下肢痛は消失しています。