外側型椎間板ヘルニア

 脊柱管の中でなく脊柱管の外の椎間孔部に生じたヘルニアを外側型といいます。当院では全ヘルニア中15 % ほどの割合です。多くは頭側に移動し神経根を圧迫しますが、脊柱管のすぐ外側にある椎間孔内にはガングリオン(図11-①)と呼ばれている非常に敏感なところがありますので、これが手術中に刺激されると大変強い痛みが生じたり、術後2−3日後から痺れが強くなったりします(合併症3)。
 L5/S1レベルのヘルニアは体の深部にあるため、今までの手術ですと椎弓切除や固定術など大きな手術の適応でしたが、PED法では骨切除することなくヘルニアに直接到達できます。したがって組織破壊が極めて少なく手術を行うことができますので、PED法が最もよい適応です。(浦山茂樹:整形外科 2015; 66: 1037-1042, 浦山茂樹:臨床整形外科 2016; 51: 473-479)

11-1図11-①.L5/S1椎間孔外の外側型ヘルニア(赤矢印)

L5神経根(白矢印)に沿ったMRI像

ガングリオン(赤星印)はヘルニアのそばにあります。50歳代 男性 主訴:右下肢痛 神経麻痺あり。

 

 

11-2図11-②.a. 椎間板造影後の3D CT像
b. a.の画像と3D MRIの合成画像

ヘルニア(赤矢印)とL5神経(黒矢印)との関係が立体的に観察できます。

合成画像は体の深部の手術の術前検討に有用です

 

11-3図11-③.右上窓:術中内視鏡視像。
中央:術後3ヶ月のL5神経根(白矢印)に沿ったMRI像。

骨切除することなくガイドに沿って椎間孔部に進入すると、すぐにヘルニアが見つかりました(右上窓)。神経を頭側に排除してヘルニアを摘出(中央:赤矢印)。
術後直ちに下肢痛は消失し、術後3日で退院しましたが、術後4日目からガングリオンの刺激症状が出現しました(合併症3)。幸い術後3ヶ月で消失し、麻痺は1年で回復しました。