尾側移動ヘルニア

 ヘルニアの外側には椎弓根という骨組織がありますので、経椎間孔法ではヘルニアを摘出できる範囲が少なくなり、多くは経椎弓間法の適応になります。経椎間孔法では椎間板レベルから椎弓根の中央付近にまで移動したヘルニアが適応になります。(浦山茂樹:J Spine Res. 2016; 7: 1218-1224, 浦山茂樹:MB. Orthopaedics 2016; Vol.29: No.10; 239-252))

図6-①.L4/5椎間板から脱出し、L5/S1椎間板を越えて尾側移動したヘルニア(赤矢印)
80歳代 女性 主訴:右腰下肢痛 神経麻痺あり
L5/S1椎間板レベルでヘルニア(赤矢印)は硬膜管(白矢印)より大きい(右図)。

 

 

図6-②.術後3D CT像:硬膜外麻酔で、右L4/5経椎間孔法に続いて、右L5/S1椎弓間法の2つの進入法を用いて手術しました。術後CTでは右L5椎弓下縁が一部骨切除されています(赤矢印)。

術後6時間で歩行を開始し、手術翌日には下肢痛は消失していました。

 

6-3図6-③.術後6ヶ月:ヘルニア(赤矢印)は広範に摘出されて縮小し、硬膜管(白矢印)は拡大しています。麻痺は2年で回復しました。