馬尾・神経障害
硬膜損傷の際に馬尾が損傷される場合と硬膜から出た後の神経根やさらに末梢の脊髄神経が障害される場合があります。
①.馬尾障害:馬尾は細いフィラメント状のものがたくさんありますので、軽度の障害では症状が出現しないこともあります。しかし、障害の程度が高度になりますと、筋力知覚障害やひいては膀胱直腸障害が発生し、日常生活に影響を及ぼすことがあります。
②.腰神経障害:馬尾の障害と同様に下肢の知覚運動麻痺が生じます。しかし、両側性に生じることはほとんどなく片側性であり、膀胱直腸障害が生じることもありません。
PED法では外套管で神経を排除している時間が長かったり、強く排除したときに生じやすくなります。当然のことですが、ドリルで神経を傷つけたり、鉗子でつまんだりしても障害が生じますので、手術操作は丁寧に行う必要があります。
図19.ヘルニアを摘出し、神経根と硬膜を内側に排除していた外套管を回転して神経の排除を解除した直後
神経根に外套管の圧痕がみられました。幸い、術後に神経麻痺が生じることはなかったですが、神経を排除している程度と時間には気を使うことが重要です。