頭側移動ヘルニア
高度に移動しておれば症状も強い傾向があります。外側型ヘルニアが神経根に沿って頭側に移動し脊柱管内にまで入り込むこともあれば(浦山茂樹:整形外科2015; 66: 1037-1042, 浦山茂樹:臨床整形外科2016; 51: 473-479.)、単に脊柱管内を頭側に移動することもあります。神経根が硬膜から分かれて出てくる神経根の腋窩部にまでヘルニアが頭側移動すると、神経根はヘルニアと骨である椎弓根の間に挟まれますので下肢への放散痛が非常に強くなります。
手術はヘルニアを摘出するために、いくつかある進入法のうちどの進入法が適しているか、よく考える必要があります。経椎間孔法や、ヘルニアが出た椎弓間または頭側の椎弓間法、さらに経椎弓法などいくつかあります。(浦山茂樹:J Spine Res. 2016; 7: 1225-1230, 浦山茂樹:MB. Orthopaedics 2016; Vol.29: No.10; 239-252)
図5-①.L4/5椎間板から脱出し、L4椎弓根(右図の白矢印)の内側に頭側移動したヘルニア(赤矢印)
30歳代 男性 主訴:右腰下肢痛 麻痺あり
(浦山茂樹 J Spine Res. 2014; 5: 1218-1223)
図5-②.経椎弓法で手術
右上窓:一塊として摘出されたヘルニア(インジゴカルミンで一部青く染まっています)
中央:手術中の内視鏡視像
L4神経根が硬膜から分岐するところ(神経根腋窩部)にヘルニアがみえます。
図5-③.術後3ヶ月:ヘルニアは良好に摘出されています。
麻痺は回復し、術後3ヶ月でマラソン大会に参加しました。