腰椎椎間孔狭窄
椎間孔内は神経根が椎弓根の尾側を通過する部位であり、脊柱管外に当たるため以前は診断に苦慮する隠れた部位( hidden zone:Macnab I; J Bone Joint Surg Am. 1971; 53:891-903)と呼ばれていました。しかし、最近のMRIの進歩により、ヘルニアを含め(図11,12)、この部の狭窄は比較的多くあることがわかってきました。神経根造影とブロックにより診断を確定しますが、一旦診断が確定すると椎間孔から進入するPED法のよい適応です。神経に近接できますので、病変部を拡大視して神経の除圧を行うことができます。短所は神経除圧の程度を確認しにくいため、少し広範囲に除圧してしまう傾向があります。(山崎夏江:中部整災外誌 2016; 59: 1213-1214,浦山茂樹:MB. Orthopaedics 2016; 29: No.10; 239-252)
図14-①椎間孔狭窄
右L4神経根造影後のCT像 90歳代 男性
主訴:右下肢痛 麻痺なし。
全身的に肺高血圧と閉塞性呼吸障害を合併、腰椎変性側弯症を伴っています。
a. 手術前 b. 手術後16日目
L4神経根(a. 白矢印)は椎間孔部で骨棘(棘状に増殖した骨組織)を伴う椎間板の膨隆(a. 赤印)により圧迫され横走化しています。
手術後には圧迫が除去され、神経根(b. 白矢印)は直線化しています(b. 赤印)。現在、手術後3年で下肢痛なく1本杖を用いて歩行しています。
図14-②.PED手術中に行った骨棘切除
L4神経根(赤矢印)を外套管で排除して、L4椎体下縁の骨棘をドリルで骨切除しようとしています。